東洋医学の理論を基にした鍼灸
陰陽五行という世界観
体は小宇宙といわれるように、体は季節や時間、心の状態によって刻々と変化しています。
春は発生の季節です。私たちの脈動は冬には深いところを流れていますが、春になると、だんだんと下から勢いよく突き上げてきます。
風が吹き、新芽が芽吹き、温かくなるのでだんだんと外に出ていく機会が増えます。地中で力を蓄えていた動植物が地上で活発に活動を始めるように。
そのためには、陽気が必要になります。陽気というと難しく感じますが、エネルギーと思っていただくといいと思います。
「よし、行くぞ!」といった感じです。この陽気が不足していると、春についていけないです。
そのため、春は四季の中で一番陽気を必要としています。
また風が強い日が多く、花粉が飛びますが、洗濯物はよく乾きます。人の体も風に吹かれた状態になります。
めまいや耳鳴り、筋肉のけいれんなどです。こういった症状が出やすいのが春の特徴です。
夏は暑い季節です。陽気が最も盛んな季節で、私たちの脈動は四季の中で最も表面をしかも太く流れています。
こうして体の中に熱がこもらないように発散しています。
植物は繁茂し、人の体も陽気が盛んになりますので、適度に体を動かして陽気を発散する必要があります。
そうしないと外界の熱を受けて体の中の熱が多くなります。
熱が多くなると、不眠や多夢、動悸、手のひらや足の裏が熱くなるなど、熱がこもる症状が現れます。
日中冷房の環境で生活することが多い方は、一日に一度はドバーっと汗をかくことをお勧めしています。
秋は乾燥と収穫の季節です。陽気が落ち着き、私たちの脈動は表面で流れていますがだんだんと細くなり陽気が体の中に移動してきます。
植物は紅葉したり、葉が落ちたり、果実は結実し収穫の時を迎えます。
乾燥し涼しくなるので、思いがけない冷えや乾燥から呼吸器疾患や、筋肉が冷えや乾燥で柔軟性を欠いて肉離れやアキレス腱を痛めるなど、
激しい症状が現れることもあります。
冬は陰気が最も盛んな季節です。私たちの脈動は最も深いところを流れていて体の中から温めています。
特に脚は、脛の骨の中を走行する「腎の気」が盛んとなり温めています。
秋の冷えは体の上から、冬の冷えは足から入ってきます。
冬は特に腰から下を冷やさないように生活することをお勧めしています。
このように、季節によって、また時間によって体は対応して営まれています。
朝は一日の中で春、日中が夏、夕方が秋、夜は冬。だから、朝調子が悪い場合は、陽気が不足気味なのでは?とみていきます。
また体に現れている色、発する香り(フレグランスの香りでなく体の)、好む味、声のトーン、汗や唾液・鼻水など体液なども検査の対象としてみていきます。